新しくなった確定拠出年金制度(DC)

平成28年5月に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」が成立しました。この背景には、公的年金のスリム化が進む中、補完的な役割を担う私的年金の充実を図る狙いがあります。

近年、わが国では企業年金を導入する企業の割合が低下しており、企業年金の縮小が懸念されています。その背景の1つは、中心的な企業年金制度の1つであった厚生年金基金において、事実上制度の廃止が決定していることであり、事実、多くの基金が解散等に動いています。

DCは、解散後の受け皿の制度として期待されていましたが、特に中小企業においては、DC制度運営にかかるコストが高いことなどを理由に、想定どおりに制度移換が進んでいないのが現状です。

今回の法改正では、企業年金の普及・拡大という観点から、中小企業(従業員100人以下)を対象として、次の新しい制度が創設されました。

①簡易型DC制度で、DCの設立にかかる手続き等が大幅に簡素化されること

②小規模事業主掛金納付制度で、個人型DCに加入する従業員に対して、事業主が掛金を追加拠出できるようになること

中小企業において、DCを導入しやすい環境が整備されたことは大きな一歩であり、今後の企業における年金の普及・拡大が期待されます。