近年、激甚災害に指定されるような大規模災害が毎年のように発生しています。今回は、税制上の特例を個人・法人の場合に整理して確認します。被災した個人・法人の損失に関する所得税、法人税等の取扱いとしては、次のようなものが定められています。
(1)所得税
①雑損控除、災害減免法
災害により住宅や家財などに損害を受けた場合には、確定申告を行うことで所得税法の雑損控除又は災害減免法の適用を受けることができ、どちらか有利な方を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。
②(特定増改築等)住宅借入金等特別控除
災害によって被害を受けたことにより居住の用に供することができなくなった住宅用家屋については、居住の用に供することができなくなった年以後の残りの適用年においても、引き続き(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
(2)法人税
①災害により滅失・損壊した資産等
法人の有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。
1.商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が、災害により滅失又は損壊した場合の損失。
2.損壊した資産の取崩し又は除去のための費用。
3.土砂その他の障害物の除去のための費用。
②復旧するために支出する費用
法人が、災害により被害を受けた固定資産について支出する費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次の通りとなります。
1.被災資産についてその現状を回復するための費用は、修繕費になります。
2.被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
3.被災資産について支出する費用(上記1又は2に該当するものを除く)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。