仮想通貨の制度整備と課税関係

仮想通貨とは、インターネットを通して不特定多数の者との間で、物品やサービスの購入及び売却の決済に利用できる仮想の通貨です。しかし法定通貨のような国家による保証はありません。代表的な仮想通貨としては、ビットコインがあります。

(1)仮想通貨の会計処理

日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)により、急速に広がる仮想通貨に関する会計ルールの原案が平成29年10月に示せれています。原案では、仮想通貨を時価評価すると明記され、外貨と同じように期末に時価と簿価の差額を損益として計上します。企業が保有する仮想通貨の価格が急落した場合、期末に損失を計上することになります。

(2)課税関係

①消費税

仮想通貨については非課税取引として、平成29年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等について適用されます。

②所得税

ビットコイン等の仮想通貨を使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として「雑所得」に区分されます。

(3)仮想通貨利用のメリットとデメリット

仮想通貨のメリットは、どこにでも送金でき、24時間365日取引できるといった利便性の良さ、需要の高まりに伴う時価の上昇などがあります。一方デメリットとしては、投機性が強く流動性が低いため、相場が下落すると売買が難しくなる点です。仮想通貨の利用には、国際送金・決済手段としての利便性と価格変動や流動性へのリスクテイクを慎重に考える必要があります。