相続時精算課税制度・生前贈与加算の見直し

 

 

(1)相続時精算課税制度の見直し

 これまでの相続時精算課税制度は、贈与税の基礎控除が受けられず、110万円以下の贈与であっても贈与のたびに申告が必要であること等の理由から、選択する人は多くありませんでした。

 今回の改正では、相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が創設され、控除された価額は相続時の財産価額からも除かれます。これにより、長期間における資産移転が現行よりも容易になりました。

 

(2)生前贈与加算の見直し

 生前贈与加算は、被相続人から相続開始前3年以内(加算期間)に暦年課税によって贈与を受けた場合に、その財産の贈与時の価額を相続財産に加算する制度です。暦年贈与の基礎控除額110万円以下で贈与を受けた財産についても、加算期間内であれば相続税が課されます。

 今回の改正では、この加算期間が3年以内から7年以内に延長されます。ただし延長した期間(4年間)に受けた贈与については総額100万円までは相続財産に加算されません。経過措置により、加算期間は2027年1月以降段階的に延長され、2026年12月31日までに相続開始の場合の加算期間は、現行の3年のままです。最終的に加算期間が7年となるのは、2031年1月以降に相続が開始となった場合です。

 加算期間の延長によって、贈与に対する税制メリットは7年を経過しないと生じないことになるため、制度を適用する場合は、これまで以上に早期の資産移転が重要になると考えられます。